フランスでは、社長が自分の考えや心の内を部下にみせることはめったになく、また、自分の抱えている問題を部下と分かちあうことはありません。
同時に、部下のほうでは、他の国にくらべて、自由に上司の批判を行い、議論をすることができます。
中間管理職が部下に対して、上からおりてきた指示を伝える場合、自分の立場にはっきりとした根拠があり、論理的であるならば、あくまでその指示を守る態度をとるほうがよいでしょう。
このことを、外からきた人はよく、フランス人はつねに独裁者的リーダーシップを求めているのだ、と勘違いしています。
フランス人の精神には、論理と同時に、深く健全な懐疑主義が存在しています。
彼らは、正しい方向に向かって、そして正しい理由によってのみ、導かれることを好みます。
彼らが権威に対して敬意を払うとき、それは何よりもまず、能力への敬意に他ならないのです。
その敬意を得るには、性格が強いというだけでは充分ではないのです。