相談はあくまで信頼する相手に行なうものです。
社長が部下との信頼関係を築いていなければ、相談もうまく進まないのは当然です。
部下から相談を受けることが少ない社長は、「自分は部下から信頼されていない」と考えたほうがいいのです。
噺マラソンの監督を見習おう
部下と社長の関係を、マラソン選手と監督の関係を例に考えてみましょう。
監督に最終的に求められるのは選手が大会でいい成績を得ることです。
しかし、そのために監督がなすべきことは選手がもつ力を伸ばすと同時に、それを発揮できる環境をつくってやることです。
力を伸ばすのは適切な練習メニューであり、力を発揮できる環境とは何でも相談できる信頼関係です。
もし、監督が練習メニューを選手に強制するだけで気軽に相談できる関係を築こうとしなければ、選手は悩みや疑問を解消できないまま、「勝たなければならない」という心理的な負担が増すだけです。
これでは、選手は実力を発揮できません。
シドニーオリンピックの女子マラソンで金メダルをとったときの高橋尚子選手と小出義雄監督の様子を見れば、このことがよくわかると思います。
もちろん、社長と部下の問でこれだけの信頼関係を築くのは難しいことです。
しかし、そのような理想的な関係に近づくように努めるのが社長としての役割ではないでしょうか。