中小企業の多くは、組織らしいものはできてはいるものの、権限と責任が明確になっていません。
多くの現場において、社員に「現在の会社の問題点は何か」という質問をすると、「社長の方針が明確でない」「コミュニケーションが悪い」という二つの答えが上位を占めます。
社長の方針が明確化されていないために、モラールが低下してしまっているというケースが驚くほど多くあります。
ですから社長は、総合的、全社的な方針を確立する責任があるのです。
経営理念もなく、社是・社訓もなく、しかも方針が明確でない"成り行き経営"の企業は、すぐにでも改革の手を打たなければ、一企業の寿命一〇年」といわれる今日、この世から消えてなくなるのは当然の帰結です。
方針は具体的でなければなりません。
その例として次のように具体的に示すことが必要である。
「権限と責任の明確化を図る」
「協力業者への早期発注の徹底」
「手もち、手戻り、手直しをなくす」
「クレームを半減させる」
上から下にいくにしたがって方針が具体的になっていかなければなりません。
方針は社長から現場へと一貫させ、徹底しなければならないが、社長が「火の用心」、部長が「火の用心」、課長が「火の用心」と同じことをいっていては浸透しません。
これらの方針を総合的、全社的に徹底させていくには、社長の強力なリーダーシップがぜひとも必要になってくるのです。