日本人は、物事を変えた時に、「自分にだけ何かデメリットが発生するような気がする」と思う、被害者意識の強い国民感情を持っています。
その中で、意識変化させていくのが社長の仕事です。
変化に対して痛みをともなわないようにする、一種のソフトランデイングなのです。
「エブリワン・ハッピー(誰もが幸せ)」という改革も不可能です。
不可能なことを望んではいけません。
誰かが痛みをともなえば、その痛みに対して共感する社長自身もやはり痛みをともないます。
嫌われる悪役には、誰しもなりたくないものです。
たとえば、人件費を削減するには、2つの方法があります。
1つは、機械を使って手間のかかる仕事を減らし、人間がやっていたことをどんどんコンピュータにさせていくことです。
たとえば銀行でお金を送金する時、お客様が自分でATMを操作して手続きをすると手数料が安くなります。
受け取る手数料が減っても、それ以上に人件費を抑えられるのです。
しかも都市銀行では、業務提携によって支店を統合し、ATMの台数も削減しています。
コンビニと提携することで、今までのATM業務はコンビニが請け負うことになるでしょう。
今、ATMの機械にお金を入れているのは警備会社ですが、ATMがなくなると、この業務もなくなります。
コンビニがすべての金融業務、窓ロリテール業務を始めるようになり、人件費が削られます。
もうーつ、リストラをすることで人件費を抑制することができます。
リストラとは、人件費を抑制するために人を切ることで、とてもわかりやすい方法です。
お金ばかりかかる中高年の社員を1人切ることで、即粗利益が伸びます。
しかし、最も本質的に人件費を抑制する方法は、2人分働ける人をつくることです。
ただ人を切るだけでは、その会社が弱っていくだけです。
人を切る時にはダメな社員を切ることができますが、同時に優秀な社員も逃げていきます。
優秀な社員が逃げていけば、なりません。
社員を教育できないかぎり、会社の資産を失うことになり、人件費の効率化はできません。